購買コンサルティング

商社は必要?不必要?商社適正化のすゝめ①『商社機能とは』

Dr. Trade
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こんにちは、商社出身貿易ドクターです!本日は商社は必要か?!不必要か?!商社適正化に向けたシリーズ編スタートです。まずは商社機能を理解する事で適正化への第一歩を踏み出そう

本日の記事の内容
  • 商社機能 「情報」
  • 商社機能 「リスクテイカー」
  • 商社機能 「手間を請け負う」
  • 商社機能 「個人的提案力」

 

商社機能『情報』

世間一般的にもよく言われる商社の機能の一つとして情報力が挙げられます。ただ情報力と言っても曖昧な表現で範囲が広くこれをタイプ毎に分け言語化していく事で、自社が商社から供与する情報がどれに属するのかを確認していきましょう。

①マーケット情報 一般論(市況・トレンド)

商社の強みとして業界内・他業界共に幅広い繋がりがあることからもメーカーの領域を超えた情報リソースへのアクセスを持ってる事が多いです。それ故にGeneralな経済評論データや、市況データ、多角的な顧客情報を持ってる事が多く顧客にこれを定期的に提供するサービスを実行します。

具体例)銀行・シンクタンク発行の経済データ/ICIS市況データ/大手コンサル発行の業界トレンド資料

② 生情報(最新価格・競合情報・顧客情報)

所謂、外に出ない、インサイダーの情報です。同じ製品ですが複数の競合品を取り扱ったり、ある一つの製品を業界の競合全てに販売できる商社だからこそもつ、生の情報です。

具体例)先週時点の価格は〇〇でした。前回の入札は□□が取りました。A社は実は〜〜で新工場建てる噂があるそうですなど。

③ 人的繋がり

これも立派な情報の一つです。商社は兎に角「キーマンは誰か」に拘ります。そして、キーマンを見つければ、その人とのズブズブの関係を築く事に全力を注ぎますし、気に入られるのが得意な人が多いのも事実です。商社の向こう側にいる仕入先・販売先に対し、この商社だからこそ取り持てる話というのが往々に存在してます。

商社機能『リスクテイカー』

これは上述の『情報』と異なり、機能がより明確で購買にとっても・商社にとってもお互いが認知しやすい役割になります。メーカーが負担できないリスクを商社が請け負う事でビジネスを成立させるという形です。これもどの様な形があるのか言語化していきましょう。

① 与信能力(=資金力)

仕入先との決済条件が自社で受け入れることの出来ない、資金負担額もしくはユーザンス期間であった場合に商社を起用する事で資金負担を肩代わりして貰う事になります。具体的な決済条件に関しては⇩⇩ご参照ください!!

【決済条件】海外顧客との取引では決済条件の理解こそ最大のリスクヘッジ

② 在庫機能

在庫販売は言わずも知れた商社の立派な機能の一つですね。同一製品を複数客に販売する商社ならではの購買量を生かし、大口ロットで安く仕入、国内倉庫に在庫を構え、小口配送をオンタイムで実現していきます。自社だけの需要量では直接仕入先から買えない場合なども多い為、便利な機能ですね。

③ 物流機能

物によって形態は異なるのですが、製品を輸送するのに特殊なノウハウが必要とされる製品に関して、その取り扱いに詳しい商社・もしくはその取り扱いの為の物流アセットを持ってる商社を起用するという物です。例えば、大手総合商社の様に大規模なバルク化学品を取り扱う際に『船を自社で持ってる』事や、中規模商社が危険化学品に関し『特殊なISOタンクをレンタルしている』などが該当します。複雑な物流に対する知見を持っている事ですね。

商社機能『手間を請け負う』

右から左に流すトレード商売では商社を仲介業者や代理店とも呼びますがこの本質とは、複数の商材を一つに纏めて窓口を一本化する事で以下記載の複数の手間を省くという効率化を提供する所にあります。

① アカウントの効率化

仮に自社で購買するアイテムが100個と存在した場合、一つ一つ自身でメーカーと直接交渉するよりも商社に纏めて依頼する事で、『会う人の数』と『銀行口座の数』が整理されて非常に効率化に繋がります。

② 管理の効率化

細かい商材事の管理や仕入先の管理なども起用商社に代行して貰う事が可能です。例えば月次の販売数量表や、過去の価格推移など商社に定期的に送付してもらえるなども代行依頼してるからこそと言えます。

商社機能『個人的提案力』

上述の3種類の機能とは異なり、属人的な機能になります。『商社は人』とよく言いますが、その由来はこの『個人的提案力』に由来しているとも言えます。これは、あいつと付き合ってると、起用するかしないかは別として良い提案を定期的に持ってきてくれる。というものです。例えば原料Aを購入している先の商社の営業マンがある時、『この製品の原料(つまり原料Aの原料)はインドが主産地になります。インドでも現在原料Aを製造しているメーカーがたくさんおりまして、価格は○○USD/kgほどです。実はここだけの話某日系メーカーさんは原料Aの購買を辞めて、インドメーカーに原料Aを使用する製品を丸々受託製造依頼したと言う情報があ流のですが、ご興味ありますか。ちなみに品質は・・・・・』と言う様な会話です。購買にとって更なるコスト削減が実現できる提案や原料の安全確保ができる提案というは喜んでもらえますが、既存の流れてる商売のフォロープラスαの話なので、これをしてくれるかどうかは商社側の営業マン次第になってしまいます。これが属人的になる理由で、会社対会社で付き合うものの、担当者が交代した際に現場レベルから大きな影響を受けてしまうのです。

 

如何でしたでしょうか。『商社機能とは』として、商社機能を言語化してみました。これで現在皆様が付き合う商社の機能を分類する事ができますね。まずはどこに該当するか分類してみることから始まります。

Dr. Trade
Dr. Trade
どこにも分類できないな、となればそれは機能がない(=コスト)ので商流整理を検討してみましょう。

日本企業の国際競争力を上げていく上で調達活動は非常に重要です。そしてその中でも、商社とどう付き合っていくのかに関し、長い議論がなされてきました。『商社冬の時代』『商社不要論』という言葉が流行り世間では直取引が主流だ!なんていう企業も多くなってきたと思いますが、結果として商社は消えませんでしたね。これは商社自体が変貌してきたというのもありますが、『価値がある』と言う事でもあります。その価値を上手く活用し自社調達をさらに強化していくべく、まずは第一弾として商社機能とは何かを理解する一助になればと思います!それでは次回また。