- 関税とは何?
- なぜ関税がかかるの?
- まずはHSCODEを調べてみよう!
- [ケース]財務相関税局サイトで日本の関税が分かる
- [ケース]Fedex社『World Tariff』で各国の関税が分かる
関税とは何?
企業での貿易でも個人貿易でも海外から何かを輸入する時には輸入税を支払わなければなりません。この輸入税を関税と言います。良く巷で”免税商品”とありますが、これは関税が免除されますよーという意味合いの事です。いつもの通り、Wikipediaさんを見てみましょう。
関税(かんぜい)とは、広義には国境または国内の特定の地域を通過する物品に対して課される税。狭義には国境関税(外部関税)のみを指す国内関税が多くの国で廃止されている現代社会では、国内産業の保護を目的として又は財政上の理由から輸入貨物に対して課される国境関税をいうことが多く、間接消費税に分類される。
Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%A2%E7%A8%8E
これは非常にわかりやすいと思います。ポイントは、全ての物品に関し関税は適用されますがその税率は国によって・物品によって税率が異なります。物によっては税率0%というのもあれば120%という桁違いのものまで存在します。そしてこれは海外でも同じで各国がそれぞれのルールを持っております。
なぜ関税がかかるの?
なぜ、物品事や国毎に税率を変えるのだろうか?しかもこの関税という名の税金を支払うのは輸入者側の日本国民なのに、0%にしてくれた方が自国民に優しいのではないか!と思う方もいらっしゃるかも知れません。
実は逆で、日本国を守る為に制定されてるのが関税制度になります。言い換えれば外国から入ってくる製品に関税を適切にかける事で自国産業の自国市場での競争力を守っているのです!
関税は自国産業保護の為に導入されている。
例えば、『とうもろこし粉』の輸入関税は2020年5月時点で25%、WTO協定国に対しては21.3%になります。日本の主要生産地は北海道ですが世界で見れば圧倒的な生産規模をもつ米国には価格競争力面で敵いません。普通に輸入されてくれば仮に日本産を100円とすると米国産は80円で仕入れる事が可能です。こうなるとスーパーでは誰も日本のとうもろこし粉を買わなくなる。買わなくなると日本のとうもろこし農家は生きていけなくなる。だから25%の関税をかける事で消費者は米国産のものを結局80円×1.25=100円で買う事になり、であれば国産を買おうとする様になるのです。これが関税です。
まずはHSCODEを調べてみよう!
実際に自身が輸入するであろう製品が一体何%の関税が掛かってくるのか、が気になるところと思います。
どの物品に対し幾らの関税が適用されるのか、世界中の国が運営していく為に、世界共通の管理番号がございます。それがHSCODE(統計品目番号)です。
統計品目番号(とうけいひんもくばんごう)とは、国際貿易商品の名称・分類を世界的に統一した6桁の品目番号で、関税・統計等に関して世界の主要国で使用されているものである。英語では、Harmonized System Code
世の中に存在する全ての商品はHSCODEによって分類分けされており、この分類番号に紐付いて、輸入税が決まっております。HSCODEの調べ方は簡単でして、ネット検索ですぐ出てきます。
- まずはネットで『〇〇〇〇 HSCODE』で目星をつける。
- 目星が付けば、輸入統計品目表(実行関税率表)2020年4月1日版)にて再確認 https://www.customs.go.jp/tariff/index.htm
HSCODEが断定できなった場合はどうすればいい??
物によっては完全に同じ名前が記載されていない場合がございます。HSCODEはあくまで分類になりますので、例えば物凄くニッチな化学品などはそれ単品にはHSCODEは付与されておらず、どこのHSCODEに所属するかが分からない物が多いです。その場合として、
- 仕入先のメーカーに確認する(過去の実績があるかも)
- 通関士に意見を伺う
- 税関の事前教示制度を利用する
の3パターンがありますが、最終的には輸入地の税関判断になるため、メーカーや通関士の意見は参考情報としてという立場になります。よって、事前にしっかりと把握しておきたいという場合は各税関への事前教示制度を活用ください。
[ケース]財務相関税局サイトで日本の関税が分かる
それでは上記にてHSCODEを確認後、実際の関税率を把握する所まで追っ掛けていきましょう。
ケース エタナール(アセトアルデヒド)の輸入
①ネットで エタナール HSCODEで検索
2912.12もしくは、2912シリーズという予測が立ちます。
② 輸入統計品目表(実行関税率表) 2020年4月1日版にて再確認
ここで、エタナールと記載されておりますので、2912.12で正しい事が確認できます。HSCODEは2桁→4桁→6桁→9桁と細かくなっていきますので、仮にヒットしなかった場合は2912の中で前後を確認いただければ見つかると思います。
関税率の把握には読み順がある!
上記の流れでHSCODEの確定と税率が記載されてるページまで辿り着けば、あとは読み解き方です。読み順を下記の通り纏めてみました!
- 仕入国は日本の経済連携協定先か? If Yes→無税 If No→②
- 仕入国は特恵関税適用国か?If Yes→特恵・特別特恵適用 If No→③
- 仕入国はWTO加盟国か?If Yes→WTO協定適用 If No→④
- 基本税率の適用
上記を輸入統計品目表の該当部分と照らし合わせてみます。
WTO加盟国https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/wto/data/kamei.html
特恵関税適用国 https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1504_jr.htm
日頃Yahooニュースとかで日本と〇〇が経済協定検討開始〜〜〜と安倍総理大臣の写真付きでアップされてたりしますが、あの話を末端実務まで落とし込むとまさにこの関税率になります。そして、トランプ大統領が『タリフマン!!』なんて言われるのはTariff=タリフ=関税ですので『関税を掛けまくる男!!』(中国にだけ)という事ですね。この話はまた次回どこかでしようと思いますが、兎に角、関税は外交術によ〜く活用されます。
[ケース]Fedex社『World Tariff』で各国の関税が分かる
ここからは応用編になります。これまで話してきたのは、日本に輸入する際の関税率とその調べ方の話でした。実はHSCODEさえ分かれば各国の関税率も全て知る事ができる便利なサービスがあるのです。
Fedex社 『WorldTariff』 https://ftn.fedex.com/wtonline/jsp/wtoMainUL.jsp
無料ログインアカウント作成方法https://www.jetro.go.jp/theme/export/tariff/
↑物流業界世界最大手のFedex社(米国本社)の運営サイトですが、何とJETROさんとの提携により我々日本人は無料でアカウントを取得する事ができます!
ケース エタナール(アセトアルデヒド)の米国での関税
実際にログインし下部 『HSコード検索』に該当HSCODEを入れ込んでいきます。
↓今回は米国内のエタナールの関税率を知りたいので、下記通り入力。HSCODEは2912.12を使用。
2912.12.00.00は基本税率5.5%となっております。あとは、米国がどこの国とどのような特恵関税を結んでいるかを確認するために下部赤枠をクリック致します。
こちらのサイトはより分かりやすく、各国との関税率を全てリストにして書いてくれておりますので、より親切ですね。一部抜粋。
何と中国だけ30.5%!!!!!!そうです、これが先の貿易戦争なんです。。。。。。。
如何でしたでしょうか。本日は関税(輸入税)に関する記事でした。皆様の貿易活動・調達活動の一助になればと思います!それではまたお会いしましょう。
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