- 中国で作るオーダーシャツは最高!
- とにかく費用が安い中国
- 人件費
- 原材料費
- 物流費
- 周辺国の台頭
- まとめ
中国で作るオーダーシャツは最高!
上海でオーダーシャツ作ってきました。上海では2,700円でオーダーシャツが作れます。
しかも寸法してから3日で納入されます。
名前の刺繍も入れてくれます。私は左腕のカフスの近くに刺繍を入れてもらいました。
造りも悪くありません。
どうですか?ピッタリでしょ?
それにしても、2,700円は安い。日本だとオーダーシャツは一枚10,000円ぐらいのイメージでしょうか。
なんでこんなに安いんだ。
理由を解明していきましょう。
とにかく費用が安い中国
オーダーシャツが届くまでの工程をざっくりと考えてみましょう。
採寸→生地の選定→生地の裁断→縫い付け、仕上げ→送付
オーダーシャツの費用は、ほとんどが
・採寸や製造にかかる費用(主に人件費)
他に
・生地の費用(原材料費)
・送料(物流費)
と大きく3つに分解できそうです
人件費
生地の裁断などは、CADを使って自動化が進んでいるようですが、縫い付けなどの作業は自動化のしようがありません。
オーダーシャツの大部分は、だれかのお給料で出来ているといっても過言ではありませんね。
製造業の一般工の平均月額賃金の比較の図がこちらです。
出所:MUFG BK Global Business Insight臨時増刊号 AREA Report 5145 『アジア・オセアニア各国の賃金比較 (2019年5月8日)』
横浜と比較して、中国の人件費はざっくり1/5といったところでしょうか。やはりまだまだ中国の人件費は安いんですね。
原材料費
シャツはコットンなどの天然繊維、石油から作る合成繊維などから製造されています。
コットンというのは綿花から作られます。
中国は世界最大の綿花生産国。綿花のような汎用製品は、「規模の経済」が働きます。
つまり、たくさんあれば、その分安い、ということです。
出所:FAO(Food and Agriculture Organization)より筆者作成
中国では、合成繊維も大量に製造されています。
中国の化学繊維の生産量はこちらの通り
出所:日本化学繊維協会(https://www.jcfa.gr.jp/mg/wp-content/uploads/2018/06/ed0d7cac100ad6f59f4297632c0a77c8.pdf)
中国が世界の70%の化学繊維を製造しています。
ちなみにこちらが日本の繊維生産量の推移です。
出所:石油化学工業協会(https://www.jpca.or.jp/statistics/annual/seni.html)
1990年ごろから、汎用繊維を中心に、繊維生産の場は、人件費が安く、石油化学のある中国などにシフトしています。
こちらは2007年以降の推移ですが、中国の圧倒的な成長が見て取れますね。
出所:日本化学繊維協会(https://www.jcfa.gr.jp/mg/wp-content/uploads/2018/06/ed0d7cac100ad6f59f4297632c0a77c8.pdf)
とにかく安い中国製品が世界のシェアを占めている構図が見えてきますね。
つまり、中国では、天然繊維も合成繊維も、大量に作られており、安い、ということです。
物流費
最後に送料です。
中国における送料は、製造元が中国である以上、内陸運送費のみです。トラックで運ぶ費用だけ、ということですね。
一方、日本だとどうなるでしょうか。
日本のアパレル商品は輸入浸透率97.7%。つまりほとんどが輸入品ということです。
中国から日本に輸入すると仮定すると、輸入関税はおよそ4%から20%です。
関税について詳しく知りたいからはこちらの記事をごらんくださいね
日本で購入すると、海上運賃のほかに、最低4%の関税も上乗せされてしまう、ということです。これは費用に結構響きます
最も影響の大きな人件費の他、原材料費、物流費を見ても、中国でオーダーシャツを作れば安くなる、ということがわかりますね。
周辺国の台頭
繊維は汎用品が多く、衣服などは人手が多くかかることから、人件費の安い国が生産拠点となりやすいことがわかりました。それゆえ、中国が一大産地なんですね。
しかし、中国の人件費は毎年どんどんの伸びてきています。
三菱東京UFJ銀行の調査によると、中国の最低賃金はここ10年で約2倍程度に伸びているようです。
そのような事情もあり、繊維の産地は次第に中国からさらにミャンマーやバングラディシュといった周辺国にシフトしています。
その後はアフリカへと移っていくことが想定されますね。
まとめ
オーダーシャツから、繊維業界における中国の強さを見ていきました。
衣料品の製造費用も、原材料である繊維も安い中国に衣料品の生産が集まる構図が見えました
どのような産業であっても、低いコスト×大きな規模=圧倒的なシェアという構図は変わりませんね